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IN MY ROOM

IN MY ROOM

夢のあとさき

光は夢をみていた。

「ストロボ」光ったあの夜から。
その年の1月1日に始まって11月24日に終わったはかなくも淡く哀しい夢。

それから約2年が過ぎて、広瀬香美が歌う「ストロボ」のメロディをくちづさみながら、やっぱり夢だったんだなあ~と今にしてこう思う。

夢の中で恋した人は、ある日突然光の前に現れた。
恋に落ちるとはこういうことか。。。。。
光はブラックホールに落ちてしまった。

あのころ毎日が光には「生きている」という幸せに満たされていた。
見るもの聞くものすべて明るく、砂漠の世界から甘美な恋愛の世界に変わっていった。
彼の喜ぶ顔が見たくてたくさんの努力をした。
楽しい会話、食事、電話、人を愛するしあわせ、何かをしてあげられる嬉しさ。

砂漠のような5年間、光の心は風、雨、嵐いたるものに吹きさらしになっていた。
わたしは呼吸しているだけの人間、息をしている限り行き続けるだろう。
もう光には人を愛する気持ちのかけらさえ残されていなかった長い長いトンネルの
時間。

でもわたしにも人が愛せる。
何よりもこんな気持ちが残っていたなんて~

しかし光の恋は倫ならぬ恋だった。

矛盾に向かい合うたびに光はパニックを起こしジレンマに陥った。
この苦しみは燃えカスとなった今でも光の胸をチクリと突き刺す。

彼を失う~という恐怖感の方が光には耐えられず、泣き叫びながらも「素直な心」という一点に集中し、光は恋に溺れていた。

秋が深まっていった。
光はかなり疲れていた。
ミレニアムまであと何日?
イルミネーションを見たとき、ふと自分の中の声を聞いた。
「この恋はいつまで?」

別れはそれからすぐにきた。
彼は妻とやり直したい、君にはすまないことをした~
というような言葉を光に投げつけ逆上した光は蜂になった。
そして彼を刺してやった。

すべては終わった。

彼のいった言葉、行動、甘いささやき。
そんなものがシャボンの泡となって消えていき光は魔法のとけたシンデレラのように再び砂漠の世界に引き戻されていた。

そして今光はこういうタイトルのエッセイを書いている。

時間というものは穏やかに人を成長させるものと知る。
冷静でなかった日々、彼への復讐に燃えていた日々。
涙なしには眠れなかった心が、今ではいとおしい傷となって光を奮い立たせている。

しかしあらたな発見もできた。
光にも人を愛せるピュアな気持ちが残っていたこと。
世間でいわれる「不の道」に落ちてしまうとは想像もしなかったことである。

光は熱いミルクティをぐっと飲み干す。

いい夢だった。

現実の生活にもどれば、彼は結局「都合のいい男」だったに過ぎない。
Take2のきかない NGシーンのひとコマである。

夢のあとさき。

さて本番。

この次は地上で本物の恋をしよう。

本物の恋愛をしてみたい。

光の第②幕は始まったばかり。




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